読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

yunosatodays

北海道ニセコ山麓、廃校の木工房。湯ノ里デスクの田代がお届けする、モノ作り&山暮らし通信です。

Kenさんの思い出

f:id:yunosatodesk_Tashiro:20121116133821j:plain

 もう10年ほど前。

僕が東川町(大雪山の麓)の家具メーカーで働いていた頃のお話。

 

入社したばかりの僕は、初めて職場でその人を見た時、

「ああ、なんだか、武田鉄矢にそっくりな人がいるなあ・・」

と素直に思った。

実に、「金八先生」の頃の鉄矢氏の姿に生き写しだったのである。

年齢的には確か、僕より一回りくらい年上だったと思う・・。

それが先輩職人のkenさんとの出会いだった。

 

新米の職人として働き始めた僕は、昼休みに一緒に弁当を食べながらkenさんとよく話しをし、次第に仲良くなっていった。

 

やがて、彼が音楽好きで、自分でもギターを弾いて歌うこと。オリジナル曲もたくさんあること。会社主催のパーティー(飲み会)の時などはそのオリジナル曲を弾き語りすることなども知った・・。

 

僕もギターを弾くんですよ・・という話しをすると、kenさんの目がキラリと光った。

「おい、一緒にバンドやろうぜ!」と、まるで高校生のように鉄矢・・いや、kenさんは言ったのだった。

 

そして僕らは強引に職場の他の仲間も誘い、ついに『職人バンド』を結成した!

 

kenさんのオリジナル曲はというと、飲んだくれブルースを、ギターをかき鳴らして歌う(声でかい!)・・というスタイル中心のものだった。

バンドで演奏するのが夢だったkenさん。

『職人バンド』と名前はすごいが、実は半分は初心者の、愉快なバンド活動が始った。

 

ある練習日の晩、kenさんから年末の社内クリスマスパーティーでの演奏に向けて用意して来た譜面のコピーを渡された。

ひじょーに難易度の高そうな譜面。

難易度の高いギターコード。

それは、山下達郎の「ゲット・バック・イン・ラブ」であった。

 

飲んだくれ系(がなり声)ブルースマンのkenさんが、実は最も敬愛しているミュージシャン。

それが山下達郎氏だったのだ。

 

ヤマタツは「音の職人」と呼ばれているんだ!

・・難解な譜面を前にボー然としている我々を見回し、kenさんはうれしそうにそう言って笑った。

 

そして、僕が「金八先生」だと思っていたそのヘアスタイル・・!

ああ、何ということか。

それこそが山下達郎を意識したスタイルであったのだ・・!!

 

クリスマスパーティーの夜、僕たちは「ゲット・バック・イン・ラブ」を、かなりヘロヘロではあったが、演奏した。

普段はギターをかき鳴らし、飲んだくれブルースをがなるkenさんは、この曲の時だけギターを置き、ただ歌うことに集中した。

ヤマタツをバンド演奏して歌うのは、ずっと彼の夢だったから・・。

 

あれから、早や10年以上が経つ。

 

・・kenさん、お元気ですか?

「ゲット・バック・イン・ラブ」がどうしても聴きたくて、僕はこの『opus』を買いました。

素晴らしいアルバムですね!

「音の職人だ」と言ったkenさんの言葉を噛みしめながら聴いています。

どの曲も聴くほどに素晴らしく、胸が震えます。

自分もいい仕事をしなくちゃと、とても励みになります。

大雪山の麓の町でkenさん、このアルバムを聴きまくっているでしょうね!

僕もニセコ山麓の廃校の工房で、毎日聴いていますよ・・・。

 

 ところで、kenさんつながり・・というわけでもないのだけれど、

NHKの番組で健さん(高倉健)が、山下達郎の「希望という名の光」を愛聴していることを知った。

なんだか、すごくうれしかった・・。